
<中原中也の夏の詩を集めてみました>
月は空にメダルのように、街角に建物はオルガンのように、〜都会の夏の夜
夏の真昼の静かには タールの光も清くなる。〜夏の日の歌
山の端は、澄んで澄んで、金魚や娘の口の中を清くする。〜逝く夏の歌
やれやれと思っていると ナインも打者も悉く消え 〜夏の夜に覚めてみた夢
真ッ白い嘆かいのうちに、海を見たり。鴎を見たり。〜夏と私
血を吐くような 倦うさ、たゆけさ 〜夏
暑い日が毎日つづいた。〜夏日静閑
雲はとおく、ゴボゴボと泡立って重なり、地平の上に、押詰っていた。〜夏
温泉町のほの暗い町を、僕は歩いていた、ひどく俯(うつむ)いて。〜夏の記臆