中原中也の冬の詩<18選>

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<中原中也の冬の詩を集めてみました>

汚れっちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる 〜汚れっちまった悲しみに……

ホテルの屋根に降る雪は 過ぎしその手か、囁きか 〜雪の宵

雪が降るとこのわたくしには、人生が、かなしくもうつくしいものに― 〜雪の賦

捨てられた羊かなんぞのように とおくを、〜雪が降っている……

残んの雪が瓦に少なく固く 〜冬の明け方

自然は、僕という貝に、花吹雪きを、激しく吹きつけた。〜僕と吹雪

私の上に降る雪は 真綿のようでありました 〜生い立ちの歌

除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。〜除夜の鐘

冬の黒い夜をこめて どしゃぶりの雨が降っていた。〜冬の雨の夜

昼、寒い風の中で雀を手にとって愛していた子供が、夜になって、急に死んだ。〜冬の日の記憶

それも寒い夜の室内の空気よりもよいものはないのです 〜冬の夜

長門峡に、水は流れてありにけり。寒い寒い日なりき。〜冬の長門峡

きらびやかでもないけれど この一本の手綱(たずな)をはなさず 〜寒い夜の自我像

毎日寒くてやりきれぬ。瓦もしらけて物云わぬ。〜寒い!

冬の夜に 私の心が悲しんでいる わけもなく…… 〜冷たい夜

思えば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ 〜頑是ない歌

私が路次(ろじ)の角に立った時小犬が走った 〜冬と孤独と

汽車ゴーと鳴って この橙酢酸っぱいわ 〜冬の夜汽車で

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