風 雨

雨の音のはげしきことよ
風吹けばひとしおまさり
風やめば つと和(なご)みつつ

雨風のあわただしさよ、
――悲しみに呆(ほう)けし我に、
雨風のあわただし音(ね)よ

悲しみに呆けし我の
思い出のかそけきことよ
それににて巷(ちまた)も家も
雨風にかすみてみゆる

そがかすむ風情(ふぜい)の中に、
ふと浮むわがありし日よ
風の音にうちまぎれつつ
ふとあざむわがありし日よ

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