「ノート翻訳詩」について

 「ノート翻訳詩」は、中原中也が使っていた「ノート小年時」と同種のノートで、表表紙に詩人の筆跡で「翻訳詩」と書かれてあるため、このノートの名を角川版編者がそう呼びならわしたものです。
 このノートには、ランボーやネルバルらの翻訳詩14篇のほかに、未発表詩篇8篇と「孟夏谿行」と題された短歌4首、および断片が記されましたが、翻訳詩14篇は「翻訳」に分類され、断片は「評論・小説」に分類されます。したがって「ノート翻訳詩」に収録されるのは、未発表詩篇8篇と短歌4首だけです。いずれも昭和8年の制作と推定され、「ノート翻訳詩(1933年)」と表記されます。ややこしい話ですが、「ノート翻訳詩(1933年)」には翻訳詩は収録されないのです。

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