迷っています

筆が折れる
それ程足りた心があるか
だって折れない筆がありますか?

聖書の綱(つな)が
性欲のコマを廻(まわ)す

原始人の礼儀は
外界物(がいかいぶつ)に目も呉(く)れないで
目前のものだけを見ることでした

だがだが
現代文明が筆を生みました
筆は外界物です
現代人は目前のものに対するに
その筆を用いました
発明して出来たものが不可(いけ)なかったのです
だが好(い)いとも言えますから――
僕は筆を折りましょうか?
その儘(まま)にしときましょうか?

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ひとくちメモ

「迷つてゐます」は
少なくとも
詩人が
タイトルを付けた作品です。

もう
ほとんど
嘘じゃない
飾っていない
赤裸々に
ストレートに
自分をさらけ出しています。

迷っています
というのは
本当のことなのでしょう
掛け値なしに
詩人は迷っているのです。

それも
恋のために
性欲のために

筆は
性欲の反対物です。

性欲に
筆が
折れそうになっています。
それを
詩人は
隠そうともしません。


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