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(不気味な程の静寂…)

《不気味な程の静寂……
どんな嵐を呼ぶのやら
どんな嵐も呼ばないのやら
私は私の生涯の
決定的な時期が今と知りながら
(何故なら私は壁につき当たっているから)
それがそうだと分るだけで
そのほか何にも分りません
記憶は過去に澎湃(ほうはい)し
素材としてのみ澎湃し
それらが何の感情を
そそるでもない此のわたくしに
ある感情とては肉親の愛
それから羞恥の情くらい……
なんとみじめなことじゃやら
とはいえ嘆きもならぬ心
私は鬼かはた何か――
何か彼(かに)かは知らねども
エイ、役が欲し、役が欲し!
仕事が欲しいと云うのじゃイ!》

幻想
その殻は割れ
中より実 はみだし

その殻は割れ
中より実 はみだせ!

(私(わたくし)よ、黙れというに!)

(一九三五・一〇・六)

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